ローズヒップ rose hip
ローズヒップはハーブの一種で、主にローズヒップティーとして親しまれています。
ヨーロッパ産のドック・ローズをはじめとする、バラ科バラ属の果実です。
ドック・ローズとは、野バラの一種で、ヨーロッパにおいては薬用のローズヒップとして重宝されている品種です。
バラが咲いた後に、緑色だった丸い果実が橙色から濃い赤色に熟すると収穫されます。
「ビタミンの爆弾」と呼ばれるほど、ビタミンCを豊富に含んでいます。
その量はレモンの20倍にも及ぶとされます。
「ビタミンの爆弾」という呼び名の他の由来は、果実が手榴弾の形に似ているからとも、ラグビーボールに似ているからともいわれています。
ローズヒップには、美肌を保つ効果や免疫機能を高める効果が期待されています。
●学名:Rosa canina(一般的に薬用で利用されます)
ブルガリアやチリをはじめ、北欧などが原産の種など、数種の学名が存在します。
生育地域や環境によって、大きさ、形状、色が違うので、産地によって学名が分けられています。
Rosa eglanteria
Rosa rubiginosa
Rosa mosuqueta
北海道から九州の海岸沿いで見られるハマナスもローズヒップの仲間です。
●別名:ドック・ローズ
ドック・ローズは、ローマ時代には狂犬病にも効くとされたことから、ラテン語で「犬のバラ」を意味する名前が付けられました。
●英名:Rosa hip(バラの実) ,sweet briar(香りの良い野バラ) ,dog rose
英語でもドック・ローズと呼ばれるようになりました。
これは、犬が散歩中に好んでローズヒップの実を食べることからです。
動物たちの美味しくて栄養のある自然の治療薬といわれていました。
●和名:バラノミ
●科名:バラ科
●花言葉
「素朴な愛」、「孤独」、「才能」、「詩」、「温かい心」
ちなみに、野バラの実の花言葉は、 「無意識の美」
●おまじない
寝る前にローズヒップティーを飲むと、予知夢を見ることができるといわれていました。
●歴史
チリに自生するローズヒップの原種(ローサ・モスケータ)は、ヨーロッパの侵略に最後まで戦った部族の守護神として祀られていたとされます。
ビオビオ地方に住むアラウカノ族では、ローサ・モスケータこそが、スペインの支配者たちが数世紀に渡り捜し求めていた「不老の秘薬」であったと言い伝えられているそうです。
この秘薬をめぐり、スペイン軍がインカ帝国を滅ぼしたという説もあるようです。
当時の貴族たちは、果実を砂糖漬けにして食していたそうです。
18世紀のハーバリストのジョン・ジェラードは、「熟した果実には美味しい実がついているので宴会ではタルトが作れる」と記しています。
当時は果実から種を取り出し、柔らかくなるまでおき、漉し器で丁寧に漉してピューレにしていたそうです。
ローマ時代には薬物誌に記され、中世ドイツの聖ヒルデガルド・フォン・ビンゲンの著書にもローズヒップの処方が残されています。
「肺に痛みのある人は、ローズヒップを葉と一緒に粉にし、ハチミツを加えて煮込み、ワインを作りなさい。」
とし、身体の健康や強壮に使用していたようです。
第二次世界大戦中、イギリスはドイツ軍Uボートの海上封鎖により、物資の供給を絶たれました。
それにより柑橘類の輸入がストップしました。
柑橘類は、当時、ビタミンCを補給する重要な食材であったため、ビタミンC不足による「壊血病」が国中で起こるかもしれないという危機感に駆せられていました。
そこで、イギリス政府は国民のビタミンC不足を予防するために。国全体にローズヒップを摘むように呼びかけました。
集めたローズヒップをシロップにして、子供たちの栄養補給にしたといわれています。
これをきっかけに、世界中に知られることとなりました。
ドイツなどの北ヨーロッパでは、冬の間のビタミンC補給のため、ローズヒップティーが愛飲されています。
「北国のレモン」と呼ばれて、親しまれています。
ローズヒップのヒップは「尻」とは無関係で、本来は「ヒップ」だけでバラの果実を意味する単語です。
●活用法
ハーブティーとして飲用されます。
乾燥したローズヒップを熱湯で煎じてお茶として飲むローズヒップティーは、さわやかな甘みとほのかな酸味が人気です。
ドイツでは、ローズヒップティーが愛飲されていて、カルカーデ(ハイビスカス)の花を乾燥させて一緒に飲むのが一般的です。
食用油として、ジャムやゼリー、マーマレードにも使用されます。
果実を砂糖漬けにします。
ビネガー漬けにします。
食事には、ペーストにしたものを、お粥やパスタ、スープに混ぜて使用します。
ローズヒップのオイルには保湿効果があるために、化粧品としても高い人気があり、スキンケアにも用いられます。
植物油として精油を希釈するためにも使用されます。
ローズヒップの植物油は、リノール酸とオレイン酸が多く含まれるため、組織の再生を促進し、傷、火傷、しわなどの美容によいことがわかってきています。
民間薬として用いられることもあります。
ビタミンCを含むサプリメントとしても用いられます。
●注意
花材用のものは、農薬や下痢作用などと、体に問題をおこす可能性があります。
食べる目的で栽培するときは、品種をしっかりと見定めることが大切です。
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